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除染・放射線等について理解を深める

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除染と放射線 「なるほどコラム」

現在空気中に浮遊している放射性物質の量について

執筆担当
青木アドバイザー

除染情報プラザに来られる方の中に、「まだ大気中に放射性物質がたくさん飛んでいるのだから、今除染をしても再汚染されてしまうから無駄だ」と主張される方がいらっしゃいます。「どうしてまだ空気中に大量の放射性物質があると思われるのですか?」と伺うと、「風が吹くと空間線量計の値が上がるからだ」とのお答えです。

実は、空間線量計の指示値は常に変動しています。これは放射性物質が風によって測定器の周辺を移動しているからではなく、そもそも放射線物質が不規則に放射線を放出するという性質によるものなのです。

では、実際にどれだけの放射性物質が空気中にあるかを常に測定しているデータから空気中の放射性物質の量を見てみましょう。

まず、定時降下物調査という方法での測定が福島市方木田にある福島県原子力センター福島支所で行われています。これはセンター屋上に大きな水盤を置いて、そこに落ちてくる粉塵を捉え、その中に含まれている放射性物質を測定する方法です。ある面積の空間に1日でどれだけの放射性物質が降下してくるかを調べるものです。

最近の9月1日9時から9月18日9時の間のデータを見ると、ほとんどの日が不検出で、唯一9月16日9時から9月17日の9時の間にセシウム137が4.65メガベクレル/平方キロメートル(これは4.65ベクレル/㎡と同じです)検出されました。事故直後の福島市の地面の汚染密度はセシウム134と137の合計で㎡当たり60000から100000ベクレルでしたから、これと比較すると十分に小さな値だと考えます。

これとは別に、ダストサンプリング調査という方法も、同所で行われています。これは空気を強制的に吸い込んで、その中に含まれている粉塵をフィルターで濾しとって、それに含まれる放射性物質を測定する方法です。

こちらの最新のデータは、2013年4月1日10時から9月17日10時までのものですが、こちらもほぼ不検出で、8月以降検出されたのは8月5日10時から6日10時までのセシウム137の0.000272ベクレル/立方メートル、9月16日10時から17日10時までの同じくセシウム137の0.000313ベクレル/立方メートルと、これも極めて微量だと考えます。

また、検出された放射性セシウムは、裸のセシウム原子が空気中を浮遊しているものではなく、一旦地表面に降下したセシウムが付着した土の粒子が埃となって風に舞い上げられて飛んでいるものですので、ある場所に風で飛んで来たものは、また風で飛んでいくので、同じ場所に蓄積するという性質のものではありません。

以上のことから、現在の空気中に浮遊している放射性物質の量は、ごく微量で、再除染が必要となるほどの再汚染の原因になるとは考えられません。

以上のデータは、原子力規制委員会のウエブサイトで閲覧可能です。

また、福島第一原子力発電所20km圏内6箇所でもダストサンプリングが行われており、そのデータも同じウエブサイトで閲覧可能ですが、2013年8月28日13:11から29日13:11に検出されたセシウム137の値の最大値は0.000671ベクレル/立方メートルで、福島市と同じ桁の水準です。